「AFCチャンピオンズリーグエリート（ACLE）2024/25」は負ければ終わりのノックアウトステージに突入する。ホーム&アウェイ方式のラウンド16は2試合で勝敗（突破）を争う。一般的には第2戦をホームで戦える方が有利とされている。

ヴィッセル神戸はリーグステージを終えた時点で3位以内を確定させ、第2戦をホームで迎えるはずだった。だが、山東泰山（中国）の大会撤退に伴い、山東泰山がらみの7試合が無効に。ヴィッセル神戸は勝点3を失う形で5位通過となり、第1戦をホーム、第2戦をアウェイで迎えることになった。

　2月8日の「FUJIFILM SUPER CUP 2025」から続く公式戦8連戦のラストを最小限の移動で迎えられることは、選手たちのコンディション面を考えればプラスと言っていい。ケガ人が多い現状を踏まえれば、明治安田J1リーグ（J1リーグ）第3節から3試合連続のホームゲームはむしろ好材料だ。

　ラウンド16で対戦する光州FC（韓国）とはリーグステージ第3節で戦っている。当時は3連勝の光州FCが首位、2勝1分けのヴィッセル神戸が2位という好カードだった。

　光州FCもACLEリーグステージ3試合で11ゴールと好調だったが、結果的にはヴィッセル神戸が2−0のクリーンシートで勝利している。ヴィッセル神戸のシュート18本に対して、光州FCはわずか2本と内容的にも圧倒。試合後の会見では光州FCのイ ジョンヒョ監督から「10回試合しても10回負ける気がする」というコメントまで飛び出している。まさに完勝だった。

　とはいえ、前回と今回では状況が大きく異なる。新シーズンを迎えて両チームともにメンバー編成が変わっているからだ。特にヴィッセル神戸はDF酒井高徳やMF武藤嘉紀ら昨シーズンの主力が離脱中。ACLEでゴールを量産してきたFW宮代大聖も欠場となると、かなり厳しい戦いを強いられる可能性はある。ヴィッセル神戸がどんなメンバーを用意できるかは一つの見どころと言えそうだ。

　前回対戦やACLEでの戦いを参考にすると、光州FCは［4−4−2］布陣をベースに、攻撃時には［4−3−3］や［3−4−3］に移行する可変するシステム。中盤より前の選手たちが流動的に動きながらパスを回すポゼッションスタイルが基本となる。前回対戦ではヴィッセル神戸がインテンシティの高いプレッシングで相手のパス回しを封印し、ショートカウンターから多くのチャンスを創出した。今回も同じような展開に持ち込めれば、優位に試合を運べると思われる。

　ポイントは右ウイングのFWヤシル アサニの対応だろう。昨年6月の「EURO2024」に出場したアルバニア代表はACLEリーグステージで7ゴールを記録。これは東地区の最多ゴール数である。今シーズンの韓国Kリーグでも得点を決めており、彼の“黄金の左足”には警戒が必要だろう。

　前回対戦では初瀬亮がヤシル アサニに仕事をさせなかったが、今回は初瀬亮がいない。酒井高徳が離脱し、DF本多勇喜もJ1リーグ第2節でアクシデント。直近のJ1リーグを参照するならDF広瀬陸斗かMF日髙光揮がヤシル アサニと対峙することになるだろう。光州FCのポゼッションスタイルを崩す上でもこのマッチアップは重要であり、試合の大きな見どころになりそうだ。

　もう一人、警戒すべきはMFオ フソンだろう。アウェイではベンチスタートが多く、前回対戦でも83分からの出場にとどまっている。だが、昨年のリーグステージMD1の横浜F・マリノス戦では63分からピッチに入り、ヘディングシュートで1点を挙げている。今年2月18日のリーグステージ最終戦（ホーム）でも2ゴール、今シーズンの国内リーグでも得点し、かなり調子は良さそうだ。出場するなら注意したい選手である。

　ヴィッセル神戸はMF濱﨑健斗（2026年にトップチーム昇格内定・今シーズンは2種登録選手）を挙げておきたい。J1リーグ第3節の京都サンガF.C.でリーグ戦デビューを果たすと、続くJ1リーグ第4節のアビスパ福岡戦では先発フル出場。吉田孝行監督が「健斗は技術もあるし、ゲームをコントロールするというか、そこから前進していくことを期待している」と話した通り、アビスパ福岡戦では高いボールキープ力、ゴールへ向かう姿勢、周りの選手を活かすパスなど質の高いプレーを随所に披露した。

　濱﨑健斗はアビスパ福岡戦でのスタメン抜擢について「緊張感よりも点を決めたい、やってやるという気持ちの方が大きかった」と振り返る。心・技・体を備えた17歳。出場するなら、光州FC戦のキーマンになりそうだ。